不妊は最近ではテレビドラマでも度々テーマになり、そしてその内容が話題になっていますね。
不妊の夫婦が子供を持たずに二人で暮らしていくことを決める、夫婦で協力して不妊治療を進めていくなど、不妊の夫婦にもいろいろな形があると思いますが、不妊による離婚もその形の1つなのではないでしょうか。
では、不妊による離婚について詳しくみていきましょう。
2015年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第15回出生動向調査」によると、結婚15~19年の夫婦の29.3%が不妊を心配した経験があり、15.6%が検査や治療の経験があるという割合が出ています。そこから夫婦の6組に1組が不妊に悩んでいるということがわかります。
不妊の原因は、以前は女性側に多くあったとされていましたが現在では女性側にも男性側にも原因があり、その割合は半々だと言われています。
不妊に悩む夫婦のどちらか一方が強く子供を望んでいた場合に離婚を切り出すことになるのではないかと思いますが、もう一方が離婚を望んでいなかった場合は簡単には離婚をすることはできません。
夫婦での話し合いによる協議離婚や家庭裁判所での話し合いによる離婚調停によっても離婚が成立しなかった場合は、裁判所で離婚裁判をすることになります。
離婚裁判になった場合は、裁判によって離婚が認められれば離婚が成立することになります。
裁判によって離婚を認められるためには、民法第770条1項に規定されている次の離婚原因が必要となります。
① 配偶者に不貞な行為があったとき
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
離婚原因の多くは「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」となるそうです。そしてこの「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するのは次のような事が事由として当てはまります。
・性格の不一致
・DVやモラルハラスメント(暴力、侮辱、虐待)
・性生活に対する不満
・性交不能
・相当期間の別居
・過度な宗教活動
・犯罪行為による服役
・金銭問題
不妊による離婚を認められるためには「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」だと認められる必要があります。
しかし、ただ不妊であるというだけではこの離婚原因に認められることはほとんどないと考えられます。不妊であったことによって夫婦がどう変わってしまったかなどがポイントになってくるのではないかと思われます。
その具体的なケースを確認しておきましょう。
不妊による離婚原因が「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と認められる可能性があるものに、次のいくつかのケースがあります。
●不妊治療によるもの
夫婦の一方が強く子供を望んで不妊治療をしていたが、もう一方が不妊治療に疲れてしまったことにより意見が合わなくなり、夫婦仲が悪くなってしまったというケースです。
その結果、相当期間別居することになった場合や喧嘩が絶えなくなりDVに発展した場合などは婚姻を継続できないとして離婚原因に認められる可能性があります。
●不妊によるうつ病になってしまった場合
夫婦の一方が不妊に悩みうつ病になってしまったとしても、それだけでは離婚原因として認められない可能性が高いです。
例えばうつ病になってしまった時にパートナーが支えてくれず、それが原因となり相当期間の別居になってしまった場合やうつ病になった原因が言葉の暴力だった場合は婚姻を継続できないとして離婚原因に認められる可能性があります。
ちなみに離婚原因の「④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」というのは正常な夫婦生活が送れないほどの重い精神病のことを指しますので、この場合には当てはまりません。
●セックスレスが原因だった場合
夫婦生活において性交渉は重要ですので、例えば病気ではないのに性交渉を拒まれるような場合やセックスレスが原因で別居するようになってしまった場合は性生活の不一致や性交不能として離婚原因に認められる可能性があります。
ちなみにセックスレスが原因で不倫された場合は「①配偶者に不貞な行為があったとき」の離婚原因で離婚裁判をすることができます。
●二人目不妊によるもの
二人目不妊で、二人目の子供をどうするかで意見が合わない場合は性格の不一致となるのではないかと思われますが、そもそも子供を作るかどうかという話だと大きな価値観の違いとなりますが、子供の人数はそれに比べると小さいものです。
また、1人目の子供の福祉が重要となりますので、二人目不妊による離婚を認められる可能性は低いと言えます。
慰謝料とは、精神的被害に対する損害賠償のことをいいます。
夫婦間において慰謝料を請求する場合は、夫婦の一方の行為に違法性があった場合に発生した精神的苦痛に対する請求をすることになります。
不妊に関しては自分の意思ではなく、違法性があるとはいえませんので慰謝料の請求をすることはできないと考えられます。
慰謝料を請求するようなケースとしては、不妊であることを理由に夫婦喧嘩になり、暴力をふるわれたり暴言を吐かれたりした結果離婚に至ったという場合などが挙げられます。
離婚する際に発生するお金の問題には「慰謝料」や「財産分与」「養育費」などがあります。不妊が原因で離婚する場合は、不妊が原因で受けた暴力などではない限り慰謝料の請求はまず不可能だと考えられますので、財産分与についてしっかりと把握しておきましょう。
財産分与とは「婚姻生活中に夫婦共同で築いた財産をそれぞれの貢献度に応じて分配すること」で、民法第768条1項に定められています。
財産分与の基本は夫婦で築いた財産を半分ずつに分ける事で、家庭裁判所の資料などでは夫婦の一方が専業主婦(夫)だったとしても、多くは半分に分けられているようです。
ただし、結婚前に貯めた預貯金や相続財産などは財産分与の対象とはなりません。
それらが結婚後、夫婦の協力によって価格が維持または増加した場合には、その貢献の割合に応じて財産分与の対象となることもあります。
財産分与は離婚後にも請求することができますが、時間が空きすぎてしまうと請求できなくなることがあります。財産分与については離婚前にあらかじめきちんと決めておくことが大切です。
ちなみに慰謝料を請求された場合「財産分与を多くしたから慰謝料は払わなくていいだろう」ということはありませんのでご注意ください。
不妊による離婚を裁判所で認めてもらうにはそれ相応の理由が必要になります。
不妊と離婚についてはデリケートな問題が含まれており、簡単には裁判による離婚はできないでしょう。
不妊を原因に離婚を考えている場合は、一度弁護士に相談してみましょう。
特に離婚問題に詳しい弁護士の場合は適切なサポートが受けられるのではないでしょうか。
不妊は誰のせいでもありません。
子供を望む夫婦であれば離婚を考えるかもしれませんが、愛し合って結婚した者同士でしたら、一度よく考えて話し合ってみてください。
それでも離婚をしようと考えている場合は、弁護士などに相談してみましょう。
2021年03月10日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
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