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「そもそも離婚って?」完全攻略ガイド

更新日:2020年03月17日
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 婚姻の手続は婚姻届を提出することで、離婚の手続は離婚届を提出すること-当然のことですよね。ですが、離婚が婚姻と異なるのが、「争い」があるかどうかという点です。
話し合いで離婚が成立する、相手方が離婚に応じてくれない、裁判を起こしたい等、離婚には様々な様態があります。
この記事では、「そもそも離婚って?」を、イチからご説明していきたいと思います。

離婚には種類がある

 一口に離婚といっても、離婚には3種類のパターンがあります。順を追って1つずつ検証していきます

協議離婚

 協議離婚とは、夫婦間の話し合いでお互いが離婚に合意するという、いわゆる普通の離婚です。条件や内容等は、全て話し合いに基づくため、例えば法外な慰謝料や信じがたい契約なども、合意さえあれば可能です。
 しかし、手軽さ優先で、財産分与・養育費・慰謝料等を取り決める前に離婚してしまうケースが多々見受けられます。最悪の場合、離婚後に相手方との連絡が取れなくなることもあります。離婚する前にきちんと話し合い、その内容を録音・録画・文面にて残すことが重要です。

調停離婚

協議離婚で合意出来なかった場合の次のステップが調停離婚です。調停離婚は、裁判所に申し立てをすることでスタートします。
 調停離婚では、夫婦の間に調停員という職員が入り、こじれた話を整理します。話し合いがスムーズに進むものの、“調停”には法的拘束力がないのが注意点です。つまり、従わなくても罰せられたりはしません。

裁判離婚

 最終手段が、裁判離婚です。協議でも調停でも決着がつかなかった時、裁判を起こすことになります。訴訟は家庭裁判所で行われ、提訴するためには、訴状二通・夫婦関係調整事件不成立調書・夫婦の戸籍謄本が必要です。
 裁判離婚では口頭弁論や尋問、審理等のあらゆる法的手続が必要で、訴訟の申し立てから判決までは、最低でも1年かかります。
ここまでくると、弁護士の協力は不可欠だといえるでしょう。裁判は長期化するので、精神的・経済的ダメージが大きく、相当な覚悟が必要です。

3つの離婚の流れ

 では、協議離婚・調停離婚・裁判離婚は、どのような順序で進むのか、下記の図を見てみましょう。

離婚の流れ

離婚成立までの生活費

 さて、離婚のプロセスは時間がかかります。その間気になってくるのが生活費。ですが実は、離婚を進めるうえで、生活費は保障されているのです。
例えば夫が働いて生活を支えてきた家庭では、妻に経済力がないので、夫は妻子に生活費を渡さなければなりません。

生活費の請求方法

 たとえ別居していたとしても、離婚が成立するまでは夫婦が財産・給与等を分担する必要があります。こちらも話し合いで額が決められなかった場合は、家庭裁判所へ生活費(婚姻費用)分担の調停を申し立てます。

生活費の金額の決め方

 では、その具体的な額はどう決まるのでしょうか。遡ること平成15年に、東京と大阪の裁判官が生活費の算定表を発表しました。しかしこれは妻子にとって不合理な計算根拠を含んでおり、現在、弁護士会では見直しを求めています。算定表は標準的なケースを想定しているので、個々の離婚事情によって、分担額を増減されたという事案もあります。

離婚成立後の金銭授受

 協議離婚、調停離婚を経て裁判で離婚が成立すると、財産分与・慰謝料・子どもの養育費といったお金の動きが生じます。

財産分与

判例によると、財産分与とは、夫婦生活のうえで築いた財産は分け合い、離婚後の生活も保障し、責められることをしたら慰謝料を払う、とされています。
※「A婚姻と離婚の総則」の大見出し⑩へ(と、リンクとばしてください)

慰謝料

 相手が民法770条における「不貞行為」「悪意の遺棄」「3年以上の生死不明」「回復の見込みのない強度の精神病」「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」を犯した場合、慰謝料を請求することが可能です。

子どもの養育費

 親権は協議・調停・裁判で決められます。親権は親に対する権利ではなく、子どもにとっての利益という点が重視されます。そのため、15歳以上の子どもの選択は、絶対的な力を持ちます。
 養育費については、親の子に対する扶養義務(生活保持義務)が当然に発生します。

注意!口約束で済まさない

 離婚のどのタイミングであれ、お互いが合意した金額等については必ず文書で残しましょう。それを怠ると、①相手方が逃げる②連絡がとれなくなる③支払いが滞る、と、事態はどんどん悪くなる一方です。
 相手方に確固たる責任を課すため、法律上有効な物証(口頭の約束を書面にしたもの)を残しておくことが、その後のやり取りで大いに役立ちます。

離婚後

離婚後に変化・変更すること

晴れて離婚が成立しても、まだしなくてはならないことがあります。ここからが、もう一苦労です。
そんな自分で対応しなければならない手続の数々。その内容のどれがどこで出来るのかを、ここでは敢えて場所別に列挙していきます。そうすることにより、「●●では○○と△△が変更できる」と、一度で済ませられる早見表の一助になれればと思います。

自分の公的手続

本籍地の市町村役場 :離婚届の提出
居住地の市町村役場 :①住民票の移動 ②国民年金の加入/変更 ③印鑑登録
居住地の市町村役場(国民健康保険の場合) :健康保険の加入/変更
その他 :名義変更(銀行・郵便局・クレジットカード・その他カード類・運転免許証・パスポート・その他保有免許等・保険・携帯電話等)

子どもの公的手続

家庭裁判所(市町村役場) :姓、戸籍の変更
市町村役場 :①児童扶養手当の申請 ②児童手当の受取人変更
その他 :健康保険の加入/変更・学校の転入・学資保険やその他保険等の受取人の変更・通帳等の名義変更

離婚により発生する権利

・再婚の自由 :女性のみ、離婚から100日経過するまで再婚することが出来ません。
・離婚復氏 :何らの手続を要することなく、当然に旧姓に戻ります。但し、離婚から3ヶ月以内に届け出れば、戸籍法により姓を改めなくともよくなります(姓が変わることによる混乱を防ぐ、離婚したことを隠したい、職場でのやりとりがある、といった目的で婚氏を続称させる制度です。)。
・祭祀財産(お墓等)の承継

終わりに

 「離婚したい…」と思う時はしばしばあるものです。ですが実際に離婚となると、とても複雑で労力の要る作業だということが、今回の記事でお分かりいただけたかと思います。
 それでも離婚を決断するのであれば、まず弁護士に相談することをおすすめします。弁護士を雇うメリットは、自分では気づかなかった権利が見つかったり、相手に請求可能なお金が判明したり、離婚の際に取り決めた契約に法的拘束力を持たせることが出来る、等です。
 最近よくある無料の電話相談でしたら費用も不要ですので、気軽に問い合わせてみるのもよいでしょう。

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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