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DVを受けているあなたのための離婚の仕方:もう、苦しまないで

更新日:2020年06月02日
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 近年、夫からに限らず、妻によるDV(domestic violence)を理由とした離婚が増加しています。DV配偶者から逃げ切ることは難しいものですが、本記事では、DVを理由に離婚を考えている方へ、まずは何をしたらよいかをご紹介したいと思います。

DVとは

 そもそも『DV』とは何を指すのでしょうか。実は、内閣府男女共同参画局によると、DVに対する明確な定義はありません。ですが、日本では、「配偶者や恋人等親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いようです。
 配偶者からの暴力を抑制し、被害者を守ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、「DV防止法」として有名です。

配偶者からの暴力に関するデータ

 内閣府男女共同参画局にて、DVに対する仔細なデータが公開されています。ここでいくつかご紹介したいと思います

1.配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数

 相談センターが受理した件数は、平成17年では52,145件だったのに対し、10年後の平成27年データでは、111,630件と、2倍以上に増えています。

2.警察における配偶者からの暴力事案等の相談等件数

 警察に相談された件数は平成17年は16,888件で、その10年後の平成17年では、63,141件と、3倍以上です。

3.配偶者間(内縁を含む)における犯罪の被害者(検挙件数の割合)

 警察庁調べによるこちらのデータは、非常に興味深い結果を表しています。まず、DV被害者の総数6,542件のうち、93.0%が夫から妻へと与えられたDVであり、妻が加害者になることは滅多にない、ということが分かります。
 それを裏付けるかのように、「傷害」においては94.4%が夫から妻へ、「暴行」においては93.5%が夫から妻へとなされており、被害者はいつも女性です。
 と、思いきや、「殺人」の欄をご覧ください。そう、147件中、ほぼ半分の44.2%の妻が夫を殺めているのです。
 このデータには事件の背景等の詳しい情報は記されていませんが、「夫からのDVに耐えられなくなり、妻が最終手段に走ってしまうのでは」、と推測してしまいます。

配偶者間(内縁を含む)における犯罪の被害者(検挙件数と割合)

DVを理由とした離婚の方法

 協議離婚であれば、互いに話し合いをして、離婚の条件等に合意すれば問題ありませんが、DVを理由にした離婚では、相手と話し合うことが出来ず、仮に話し合いの場を設けても、暴力を振るわれたり、恫喝されたりと、二次的被害が発生するおそれがあります。
 ですので、DVが原因で離婚したい場合は、その事実が起きていることを第三者にも証明出来る“客観的証拠”が必要となります。

DVの“客観的証拠”とは

 「夫/妻からDVを受けている」と単に訴えても、第三者からするとその真偽はわかりません。ですので、誰もが納得する“客観的証拠”が必要になります。そんな証拠の具定例としては、
・怪我を写した写真
・医師からの怪我の診断書
・(暴力はなくとも)暴言を吐いている録音
・暴れた後の部屋の様子
・脅迫状(メール、手紙等)
・DVに関する仔細な日記やメモ
があります。他に、自分が相手方からDVを受けていることを知っている知人がいれば、その人の証明書も大いに役立ちます。
 証拠集めの注意点としては、デジタル機器はいくらでも編集出来るので、写真ならフィルム、録音ならテープを強くおすすめします。

相手方の財産

 離婚後に、財産分与や慰謝料を請求する際、「金銭的余裕がない」等と誤魔化されないように、相手方の財産を調べておくのも重要です。例えば給与明細や通帳のコピー、生命保険の解約返戻金、厚生年金の番号、等、財産を証明するための証拠は多岐に渡ります。ですが、勝手に持ち出したことが判明した場合たいへん危険性ですので、決して無理はしないでください。

アルコール依存

離婚の方法

 協議離婚の難しさは先述の通りです。となると次なる一手は調停離婚です。証拠集めや財産を調べると同時にすべきことは何でしょうか。

弁護士

まず初めに、弁護士を頼りましょう。DVをする相手方は、外面がよいという共通点をよく持ちます。そのため知人に相談しても軽視される可能性がありますので、専門家である弁護士に相談するのが望ましいでしょう。

別居

 次に、早急に物理的に相手方と距離を置きましょう。方法としては、アパートを借りたりホテルに身を寄せたりが考えられます。しかし、別居も計画段階で気づかれるとDVに晒される危険性が高まります。それを防ぐためにも、まずは弁護士のアドバイスを聞き、それに従うのが先決です。
 「そうは言ってもそんなお金の余裕がない」と思われる人も多いかと推察しますが、離婚が成立すれば、その分の費用を相手方に請求することも出来ます。また、『財産分与&慰謝料』といった収入も見込めますので、費用より、安全なところに移ることを優先させましょう。

保護命令の申立て

 保護命令とは、地方裁判所が担う「接近禁止命令」のことを指します。現状次第で地裁が判断し、禁止命令を相手方に課します。どのような命令があるかというと、
・被害者への接近禁止命令
・電話等の禁止命令
・被害者と同居する子どもへの接近禁止命令
・DV被害者の親族等への接近禁止命令
・DV被害者が住んでいた住居からの退去命令

です。命令に違反すると、刑事罰(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が加害者に下されるので、相手方のDVに対する抑止力になります。

離婚調停の申立て

 離婚調停を申立てると、家庭裁判所で調停委員の下で話し合いを行います。いきなり裁判に持ち込みたい方もいらっしゃると思いますが、法律上では、この“調停”を経て、やっと“裁判”に臨むことが出来る、というシステムになっています。
 「夫/妻に会うのが怖い」とのお気持ちも分かりますが、家裁では基本的に相手方と顔を会わすことはありません。というのも、調停は順番、交代に呼ばれますし、それまでの待合室も別です。ですので、安心して調停に踏み出してください。

<終わりに>
 この記事をお読みいただいているあなたも、DVを受け、相手方に対して極度の恐怖心を持っておられることでしょう。
 ですが、怯えてばかりいては、DV被害は大きくなる一方で、ましてや子どもがいる場合、その子が巻き込まれなためにも、情操教育上としても、なるべく早く安全な場所に身を置くのが最重要項目です。
 DVは非常にデリケートな問題で、しかも被害は各々異なりますので、即刻弁護士に相談し、自分の置かれている状況の危険度を浮き彫りにすることをおすすめします。それにより、自分が一刻を争う危険な状態の渦中にいるということにお気づきいただければ幸いです。

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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