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離婚後の慰謝料請求は大変!?離婚前がおすすめ!

更新日:2020年09月29日
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 夫が不倫をしていたので離婚を考えている。
 家族のことを裏切ったこと夫のことが許せないから慰謝料を請求したい!
 でも、もう話もしたくない…。慰謝料の話し合いって、離婚後じゃだめなのかしら?

 離婚慰謝料の請求はいつすべきなのか、慰謝料をもらって離婚をすべきなのかどうかなどを詳しくみていきましょう。

離婚後に慰謝料請求をすることは可能なのか

 離婚をする前には決めておくべきことが多くあります。
 例えば子供の親権や養育費、面会交流について、財産分与、慰謝料、年金分割などです。中でも子供の親権については確定していないと離婚届を受理してもらえません。
 慰謝料については話し合いが終わっていなくても離婚をすることは可能です。
 そのため、離婚後に慰謝料の請求をすることも可能です。
 
 しかし、離婚後に慰謝料請求をする場合には注意すべき点がいくつかあります。
 まず、離婚慰謝料を請求することができる期間は「配偶者の不貞行為(浮気・不倫)を知った時から3年間」となっています。
 また、そもそも慰謝料とは「精神的苦痛に対する損害賠償請求」のことです。離婚の場合は配偶者から不倫やDVなどの精神的苦痛を与えられた場合に請求をすることができます。つまり、離婚をすれば必ず相手方からもらえるというものではありません。
 

離婚後に慰謝料請求を請求したら減額される?

 離婚後に慰謝料を請求した場合は少なからずいくつかのデメリットがあります。
 まずは慰謝料が離婚前に請求できた金額から減額されてしまうケースがあるということです。“離婚をする時にはそこまでの精神的苦痛ではなかった”と判断されてしまう可能性が高くなるためです。
 また、既に離婚をしているため有責配偶者(不倫やDVをした側の配偶者)が話し合いに応じない可能性もあります。
 先述したとおり慰謝料請求には時効もありますので、請求することができる期間を過ぎてしまった場合にも慰謝料請求ができなくなってしまうことも考えられます。
 様々なことを考慮すれば、離婚する前にきちんと慰謝料については話し合いをしておくことが大切だと言えます。

離婚後の慰謝料請求をするための条件

 それでもやはり離婚をした後で慰謝料請求をしたいという場合は、きっちりと請求できる条件を抑えておきましょう。

 ①相手方が有責配偶者であること
  まず大前提は有責配偶者であることです。
  有責配偶者の「有責」の内容は不倫・DVなどであると何度か触れていますが、例えば不倫であれば肉体関係があった事がわかること、DVであれば程度が酷く頻繁であることなどが条件となります。例えば配偶者が女性と食事に行っていた、平手で一度叩かれたという程度では有責配偶者とは言えないということです。
  離婚後に慰謝料請求をする場合は相手が有責配偶者であることを証明できるよう証拠をきちんと残しておきましょう。

 ②時効を迎えていないこと
  こちらも先述していますが、慰謝料請求には時効があります。
  時効の起算点は「どの時点で精神的苦痛を負ったか」によって異なります。
  不倫を例に挙げると、
   ・不倫の事実を知った時点
   ・不倫によって結婚生活が破たんした時点
   ・不倫によって離婚した時点
  この時点から「3年以内」に慰謝料を請求しなければなりません。
  しかし、時効を迎えたからと言って自動的に慰謝料請求権が消滅するわけではありません。慰謝料請求権は相手方からの主張がない限りは消滅しないのです。
  そのため、相手方が“時効を過ぎているが支払う意思はある”“慰謝料請求権の時効を知らないので支払いに応じる”といった場合には時効を迎えていても慰謝料を受け取ることができる可能性があります。

 ③離婚協議書の清算条項にて支払わない旨の取り決めをしていない
  離婚をする際には後々のトラブルを防ぐために離婚協議書を作成することがありますが、その中に記載する「清算条項」の内容に「離婚後は名目の如何を問わず、互いに何らの金銭の請求をしない」といった取り決めをしている場合は、離婚後に慰謝料請求をすることはできません。
  清算条項の取り決めを覆すには、強迫を受けて無理やり取り決めをさせられたなどの特別な事情が必要となります。
  離婚後に慰謝料請求をしようと考えている場合は、清算条項の取り決めに十分注意しておかなければなりません。

離婚と夫婦生活の継続と慰謝料

離婚と夫婦生活の継続と慰謝料
 離婚をすることと、慰謝料を請求して夫婦生活を続けていくことのどちらが良いのか迷うこともあるのではないでしょうか。
 ではここで離婚後に発生する金銭面について考えてみましょう。

 離婚時には次のようなお金の取り決めをします。
  ・慰謝料
  ・養育費
  ・財産分与
  ・年金分割
 これらのお金は、実は当然もらえるものではないのです。
 養育費は親権者に対して支払うものですので、有責配偶者が親権者となった場合には逆に養育費を支払うことになります。また、財産分与についてはあくまで「協力して築きあげた財産を貢献度に応じて分配する」というものですので、基本的には半分ずつとなります。そのため自分名義の財産がたくさんあった場合は有責配偶者にも分配されてしまいます。
 また、養育費や財産分与を受けられたとしても、長い目で見たときに離婚しないほうがたくさんのお金をもらえるという場合もあります。
 例えば養育費として月5万円×10年で600万円と慰謝料を300万円もらっていた場合は10年で900万円ですが、離婚をせずに普通に生活費として毎月15万円もらっている場合は10年で1,800万円となりますので、単純に900万円の差がでることになります。
 
 共働きで正社員であれば慰謝料と養育費をもらって離婚しても生活できそうですが、専業主婦の場合はお金がもらえるからと安心して離婚するのは不安がありますね。
 それでも一緒にいるのは無理だ離婚する!と決めている場合は、この先生活ができる資金があるかどうかなどを一度きちんと計算しておきましょう。

離婚慰謝料請求に関するよくある失敗のカギ

 離婚をする際によくある慰謝料に関する失敗例をみていくと、カギになるのは「離婚協議書」と「公正証書」だということがわかります。
 まずは離婚協議書の内容をきちんと確認せずに、離婚したい気持ちが先走って合意をしてしまった場合に起こる失敗で多いのが「取り決めの中に「養育費や財産分与については一切支払わない」という文言があったことに気づかず合意のサインをした」などです。
 基本的に離婚協議書の取り決めについてやり直すことはありませんので、相手方がやり直しに同意してくれない限りはそのまま養育費などがもらえないままになってしまいます。

 次に離婚協議書そのものを作成しなかった場合です。
 お金にしっかりしている相手だったので信用していたところ、次第に養育費の支払いが滞ってくるということはよくあることです。
 養育費の支払いを滞らせないようにするためには、離婚協議書を公正証書にしておくことが大切です。公正証書になっていれば、給料などの差し押さえを強制執行することができます。

 しかしここでポイントなのが、公正証書にすると裁判の判決と同様の意味を持つことになりますので、先に挙げた「取り決めをした内容に気が付かずサインをしてしまった」時ケースで、離婚協議書を公正証書にしていた場合はもう養育費をもらうことは完全にできなくなるということです。

 離婚協議書の内容を確実なものにするためには公正証書にするのが一番の方法ですが、公正証書にしてしまったあとでは訂正することはできません。
 離婚を急ぐあまり内容を見落とさないように一呼吸置くことが大切です。
 冷静な判断ができないと感じる時には弁護士など法律のプロに相談してみましょう。

まとめ

 離婚後に慰謝料請求をすることも可能ですが、減額される可能性や時効を迎えている可能性などがありますので、ベストは離婚前にきちんと慰謝料請求をしておくことです。
 理由があって離婚後に慰謝料請求をする場合は、相手が有責配偶者であること証明できるように証拠を残しておくことと、時効前に請求をすることです。
 また、離婚協議書を作成する際は内容をきちんと確認しておきましょう!

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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