「夜の営みを断り続けていたら、夫が離婚届を持ってきた…」。そんな、と思われる方が多いかと思われますが、実はこれは本当の話。そう、なんとセックスレスは、離婚の事由になり得るのです。
しかしそれを理由にいきなり離婚、というのはあまりにも乱暴です。配偶者から急に三行半を突きつけられる前に、セックスレスと離婚の関係を紐解いていきましょう。
セックスレスは何度も耳にしたことがある言葉ですが、その本当の意味はご存知でしょうか。ここではセックスレスと共に、日本を含む海外のセックス事情をご紹介します。
Wikipediaによると、
| セックスレスとは、日本性科学会によれば、『病気など特別な事情がないのに、1ヶ月以上性交渉がないカップル』と定義されている。しかし、便宜上『カップルのうち、どちらかがセックスをしたいと望んでいるのに、長期間それができない状態』を総じて『セックスレス』と呼ぶのが一般的な解釈である。 とされています。 |
では、セックスの回数は、何回が平均 なのでしょうか。ランキングで見てみましょう。
| 順位 | 国名 | 年間回数 |
|---|---|---|
| 1位 | ギリシャ | 164回 |
| 2位 | ブラジル | 145回 |
| 3位 | ロシア | 143回 |
| ポーランド | 143回 | |
| 5位 | インド | 130回 |
| 6位 | スイス | 123回 |
| メキシコ | 123回 | |
| 8位 | 中国 | 122回 |
| ニュージーランド | 122回 | |
| 10位 | イタリア | 121回 |
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| 22位 | アメリカ | 85回 |
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| 26位 | 日本 | 48回 |
なお、“平均セックス回数”は103回とのことです。
日本では、セックスレスによって離婚する夫婦が跡を絶ちません。妻が拒むケースもあれば、夫が妻に求めなくなるケースもあります。すると、「夫婦関係の破綻」に近づき、夫婦の危機を導きます。
そもそも日本の民法や判例では、夫婦のセックスを重要なものとしており、パートナーがセックスを求めてきた場合、正当な理由なく拒否し続けてはならない、と言っています。セックスを求めたものの度々拒否された、ということから、離婚に発展するケースが多いのです。
Aさんは、Bくんと付き合っていた当時からセックスがあまり好きではありませんでした。そんな2人は結婚、出産を迎え、幸せな日々を送っています。
ですが、Bくんには悩みがあります。それは、Aさんがセックスを拒否するのです。実はAさんは、セックスは子どもをつくるための単なる生殖行為、として我慢して行っていただけだったのです。
CくんはDさんと結婚、幸せな日々を送っていました。結婚後数年が経つと2人は“家族”になり、CくんはDさんを女性として見られなくなりました。
そこから月日は流れ、2人は子宝に恵まれました。するとCくんはもう、Dさんを妻ではなく、“お母さん”としてしか見られないようになってしまったのです。

以上のようなことから、Bくん夫妻、Cくん夫妻ともにセックスレスに陥ってしまいました。Bくんは誘う度に断られることで、CくんはDさんからの誘いに乗れず、離婚を意識するようになりました。
法律的にもセックスは夫婦間で不可欠な要素になると考えられています。ですので、正当な理由がないのであれば、セックスを拒み続ける妻は夫婦関係の要素(いわゆる「食卓とベッドを共にする」行為)を拒否している、と言えるでしょう。
そんな妻の言動は、民法第770条5項裁判上の離婚「その他婚姻をしがたい重大な事由」に相当するかのように思われます。
但し、単に性生活が一致していないという理由だけでは夫婦関係の破綻とは呼べません。そのことが原因で、夫婦仲が改善も出来ず悪くなるだけならば、離婚訴訟においても夫婦関係の破綻が認められる可能性があります。
ではここで、具体的な判例を見ていきます。(※生々しい描写があります。苦手な方は本項をとばして次項「セックスレスに耐えられない」からお読み下さい)
○性交渉不能(ED)を告げずに結婚し、一度も性交渉がない
○夫がAVにハマって自慰行為にふける
○実は同性愛者で、妻との性交渉を拒否する
○ポルノ雑誌にしか興味を持たず、妻と性交渉しない
性的異常も、相手方が受け入れない限り離婚事由になります。例えば昼夜関係なくセックスを強いられる等、一般的に比べ非常に強い性欲がある場合も離婚原因となり得るのです。
理解に苦しむ性的嗜好を強要されていたことを理由に離婚が認められた裁判例もあります。
セックスを拒否したり、相手に求めないことで刑事罰を受けることはもちろんありません。しかし、それが離婚問題にまで発展し、協議離婚も調停離婚も納得せず、裁判離婚までもつれこんだ場合、判決が不利に下される可能性が高くなります。
実際に不利になる行為とは何が挙げられるのでしょうか。
○結婚したばかりなのに性行為を求めない、拒む
○結婚前は性行為があったのに、結婚後に求めない、拒む
○結婚後に一度もセックスがない
○セックスレスの期間が長い
○相手方の不倫が原因のセックスレス
これらに該当する場合、裁判ではかなり厳しく当たられるということは覚悟してください。
以上の行為にプラスして、言葉の暴力(モラハラ)及び身体的暴力(DV)が加わると、更に相手方に精神的・肉体的ダメージを与えたことになります。
ここまでくると、裁判で離婚するかしないのかだけでなく、慰謝料請求が重くのしかかってくると言わざるを得ません。

いざ裁判に臨み、慰謝料請求がなされると…セックスレス離婚の場合、100~300万円が一般的な相場だと言われています。
慰謝料を請求するために必要なのが、セックスレスの証拠です。裁判では、証拠がなければ離婚や慰謝料請求が認められません。
証拠として用意出来るのが、
○セックスを拒否されたこと、もしくは強要されたことを書いた日記やメモ
○セックスについて話していることが分かる会話の録音
です。特にセックスレスの期間は長いほど有利になりますので、日記は初期段階から克明に記しておくとよいでしょう。
性生活の不一致で悩んだ分、慰謝料はなるべく高額を受け取りたいと思うのは当然のことです。慰謝料の金額を高くする事情は以下の通りです。
○請求する側の事情
・資産や年収等の収入が少ない
・相手方が自分よりも年上
・社会的地位が低め、もしくは収入が低めの職業に就いている
・初婚である(再婚の場合に比較して金額が高めとなる)
○請求される側の事情
・資産を多く持っている、収入が高い
・相手方が自分よりも年下
・社会的地位が高い、収入が高いと思われる職業に就いている
・生活費を支払っていなかった
○その他の事情
・婚姻期間が長い
・子どもがいる
・財産分与の額が低い
・セックスレスの期間が長い(3年以上)
・結婚してから一度もセックスをしていない
・セックスレスのきっかけが相手方の不倫
・夫婦間ではセックスレスであるにも関わらず、不倫相手とはセックスしていた場合
女性にせよ男性にせよ、夫婦間のセックスで悩んでいる方は多いと思われますが、セックスが原因で離婚出来るということは知らない方の方が多いのではないでしょうか。
人には相談しづらいデリケートな問題ですが、少しでも気持ちが軽くなるよう信頼のおける第三者に助けを求めましょう。
離婚に関する手続きは、さまざまな法的要素を伴うもの。そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。
法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、離婚問題で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。
弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方は弁護士保険ミカタの利用を視野に入れてみましょう。
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2021年03月10日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
2020年06月02日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
2024年09月20日 編集部
2020年04月20日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
2020年09月15日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者