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“夫婦関係の破綻”は、一方的な不倫や離婚要求からあなたを守る!

更新日:2024年09月20日
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 夫婦の関係が破綻している、とは、一体どのような状況を指すのでしょうか。ここでは、そんな夫婦関係の破綻とはどのような状態なのかをみていきます。(※「夫婦関係の破綻」は、「婚姻関係の破綻」とも呼ばれます)

民法の定める離婚の条件

 民法では、5つの離婚事由(離婚の条件)が定められています。簡単にご紹介すると、
○不貞行為:度重なる不倫の法律用語
悪意の遺棄:夫婦の義務違反
○3年以上の生死不明:最後の消息から3年以上経っても音信なし
○回復の見込みのない強度の精神病:夫婦の義務が果たせず、治癒の見込みもない
その他婚姻を継続しがたい重大な事由
です。これら5点のうち、“その他婚姻を継続しがたい重大な事由”に「夫婦関係の破綻」が含まれています。

裁判所にとっての「夫婦関係の破綻」

 「うちは夫婦関係が破綻しています、だから不貞行為しても責任はありません。」という方がいらっしゃいますが、果たしてそれは本当に夫婦関係の破綻に当たるのでしょうか。夫婦関係の破綻と認められることは、思っているよりかなり複雑です。

なぜ裁判官に認められないの?

 夫婦関係が破綻していると証明したい人(不倫した一方)の言い分はこうです。
○相手に対してもう愛情がもてない
○関係が冷え切っている
○やり直す気持ちがないのだから、やり直せるわけがない
 確かに夫婦間の恋愛要素はゼロに近いでしょう。ですが法律や判例によると、このような言い分では、裁判官がその主張を認めることはまずないと思ってよいです。

裁判官に通用する夫婦関係の破綻

 夫婦関係については、“客観性のある主張”が必要です。夫婦関係の破綻については、簡単には認めてもらえません。
 また、状況や感情がよく含まれる事案ですので、個々の対応が必要となり、一口で言ってしまうと、“裁判官の心証”に左右され決められてしまいます。

裁判官の木槌・ガベル

夫婦関係の破綻と呼べる条件

 では、どのような状況であれば夫婦関係は破綻していると認可されるのでしょうか。以下、10ケースを参考にしてみます。

DV・モラルハラスメント

 体への攻撃であるDVと、精神的な暴力であるモラルハラスメント。特にDVに関しては、夫婦関係の破綻が認められやすい傾向にあります。
 どちらにも共通していえるのが、夫婦関係の破綻に結びつけるためには、一度や二度でなく、恒常的に執拗な暴力、暴言をふるわれている必要がある、という点です。
 暴力行為により怪我を負った時の写真、罵詈雑言を浴びせられたメモ等を残しておくと後々の証拠として役立ちます。

家庭内別居

同じ家に暮らしているものの、会話どころか挨拶もなく、食事も各々、寝室も別…。このように、お互いが一つ屋根の下で生活していても、相手方に対して全く干渉しない場合、家庭内別居と認められます。
家庭内別居状態の期間については、1年以上続いていると、離婚が認められる可能性が高くなります。

長期間の別居

 家庭内別居からステップアップした長期間の別居。これは、夫婦関係の破綻としてとても有力な行為です。「別居が発覚」等のゴシップを見かけますが、それは相手方と離婚したいので、まずは別居をする、という人が多いためです。なお、長期間の定義は、2年以上が平均です。
但し、別居しているにも関わらず、頻繁に会ったりしているようであれば、夫婦関係が破綻しているとは言えません のでご注意ください。

借金癖

 借金癖がある、というだけでは夫婦関係の破綻とは呼べません。しかし、借金癖があるにも関わらず、働かないで、しかも家にお金を入れない。そのような事態から、借金癖のせいで夫婦間が不仲になった、等の場合、離婚が認められる傾向があります。

お互いにやり直す意思がない

 夫婦2人の中で、お互いが相手方に対する気持ちがなく、やり直そうという意欲を完全に失っている場合、夫婦関係の破綻が認められます。

性格の不一致

 基本的に、性格や価値観が一致しないからといって夫婦関係が破綻しているとは認められません。
 しかしながら、一方からみて、相手方があまりに自己中心的だったり、価値観が信じられないほどかけ離れていたりという理由から夫婦仲が悪くなったと認められれば、夫婦関係が破綻していると呼ぶことが出来ます。

性生活の不一致

 典型的な性生活の不一致がセックスレスです。セックスについては、男性側が悩んでいることが多いというデータがあります。
但し、単に性生活が一致していないという理由だけでは夫婦関係の破綻とは呼べません。そのことが原因で、夫婦仲が改善も出来ず悪くなるだけならば、夫婦関係の破綻が認められる可能性もあります。

親族との不和

 親族というのは、配偶者の親、親戚等といった方々を指します。そんな親族との関係が悪く(よくあるケースが嫁姑問題)、相手方が仲介はおろか、自分の親族の肩をもってこちらを批判してくる・夫婦間の感情が悪化・我慢の限界、となると、夫婦関係の破綻が認められることがあります。
ただ一つ注意しておきたいのが、親族との不和には条件があり、実際問題として相手方の親族と不仲であったとしても、相手方本人との関係がさほど悪化していなければ、夫婦関係の破綻とは認められません。

過度な宗教活動をしている

 憲法上では信仰の自由 が認められています。にも関わらず宗教活動が理由となるには、相当のハマり具合が必要です。過度な宗教活動が夫婦関係を破綻させている、ということを証明するためには、宗教にのめり込むあまり、家事や育児を放棄している、といった条件が付されます。

健康なのに働かない

 配偶者が理由もなく働かず、それにより家にお金を入れない、というケースは、生活が崩壊するため夫婦関係も破綻しそうです。
しかし、お金を渡さないのは「悪意の遺棄」に該当することが多いので気をつけましょう。逆に慰謝料請求をされる恐れがあります。

それでも難しい“夫婦関係の破綻”

 以上のポイントを押さえたとしても、実は、夫婦関係の破綻を証明するのは簡単ではありません。それは、不倫された側が、「それでも夫婦関係は破綻していない」「夫婦関係を修復するつもりだった」等と主張すれば、裁判官はまず夫婦関係の破綻を認めないからです。
 つまり、冒頭部分で触れた「私たちの夫婦関係は破綻していたのだから、不貞行為は成り立たない」という責任のある側の主張は認められません。

離婚に関する困りごとは弁護士へ相談を

離婚をする際双方が「私たちの夫婦関係は破綻している」と認めている場合においては、夫婦関係の破綻は分かりやすく有用性のある制度です。
ただし、「不倫がバレたから悪用したい」と考える人は、上述の10項目のうちのいずれかを証明しなければなりません。それは困難を極めます。

“夫婦関係の破綻”は、不倫を正当化するためのものではなく、本来は弱い立場にある人たちを保護する制度です。

不倫の言い訳として使うような相手であれば、即刻慰謝料を請求してしまいましょう。
慰謝料請求をスムーズに進めるためには、弁護士に相談することをおすすめします。

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