浮気は、昔から離婚の理由としてよく挙げられるもののひとつです。
結婚してからずっと円満な夫婦もたくさんいますが、何らかのきっかけで夫に浮気され離婚へと進んでしまう夫婦も少なくありません。
そこでこの記事では、妻が夫の浮気をきっかけに離婚を考える際に考えるべきこと、慰謝料や子供、そして自身の今後についてそれぞれ詳しく解説します。
好きで結婚したはずなのに、どうして離婚をすることになってしまうのでしょう?
育ちが異なる人間が一緒になった場合、付き合っているだけではわからない価値観のずれが生じたり、子供が産まれたことによって相手に対して不満が爆発したりと離婚に至る理由には様々なものがあると思います。
では、実際にどのような離婚動機があるのかというと、平成29年の司法統計によると離婚の申し立て理由の第一位が性格の不一致、第二位が生活費を渡さない、第三位が精神的虐待、第四位が暴力、第五位が浮気…という結果になっています。
ここではこの離婚動機のうち「浮気」で離婚を決意した場合に考えるポイントについて詳しくみていきたいと思います。
まずは離婚の方法についてみていきましょう。
離婚の方法は3つあります。
夫婦の話し合いによる「協議離婚」、話し合いが整わない場合に裁判所で行う話し合いによる「調停離婚」と、調停を行っても離婚ができない場合に裁判所で審判を受けて離婚をする「裁判離婚」の3つです。
●協議離婚
日本の離婚の約9割は協議離婚によるものです。
協議離婚を行う場合に気を付けておきたいことは、離婚後にもめることが無いようにきっちりと話し合いを付けておくことです。
話し合いの内容としては
・財産分与(夫婦が共同で築き上げた財産を半分に分けること(原則))
・慰謝料(相手が有責配偶者である場合(浮気やDV・モラハラの加害者))
・子供の親権
・子供の養育費
・子供との面会交流
などが主なものになるかと思います。
2人が夫婦生活を送る上で築いた財産や大切な子供についての話し合いとなりますので、お互いに譲れない部分はあると思いますが、その中で妥協点を見つけて決着をつけることになります。
浮気の場合に気を付けておきたいのが「慰謝料」です。
慰謝料を請求するためには、それ相応の証拠が必要となります。証拠が無ければ慰謝料を請求することはできません。
慰謝料については後程詳しく解説していきます。
●調停離婚・裁判離婚
離婚調停では家庭裁判所で行う離婚の話し合いのことで、夫婦だけでなく調停委員などを間に入れて離婚が成立するよう話し合いを進めていきます。
ここで話し合いがつかなかった場合は離婚裁判となります。裁判で審判が下されれば離婚をすることができます。
ここでも重要なのはやはり証拠です。
離婚をするだけの理由があるのか、慰謝料を請求することができるか、相手が有責配偶者だと証明して親権を取ることができるか…など、様々な場面で証拠は重要なのです。特に裁判では証拠をもとに裁判を進めていくことになります。離婚をしようと決意したら、まずは離婚を切り出す前にきっちりと証拠集めをすることが非常に重要なのです。
次に、慰謝料請求について詳しくみていきましょう。
●慰謝料話し合いのポイント
慰謝料を請求する場合に話し合うポイントとしては、
・金額
・支払方法
・支払時期
・支払回数
・支払いが遅れた場合にどうするか
といった内容を確実・具体的に決めておくことです。
金額については、相場が50~300万円となっています。
相場の差が大きいことについては、ケースごとに受けた精神的苦痛の度合いが異なるからです。
金額が増加するポイントとしては、
・浮気をしていた期間が長い
・婚姻している期間が長い
・浮気が発覚するまで夫婦仲が円満であった
・子供がいる
・妻には落ち度が無い
・支払い能力が高い(年収が多いなど)
などといった項目が多ければ多いほど慰謝料の金額は増加していきます。
●話し合いを有利に進めるポイント
話し合いを有利に進めていくためには、まず「優位に立って交渉すること」です。
例えば配偶者が浮気相手と結婚したい場合は「慰謝料をきちんともらえないと離婚には応じない」離婚を世間に知られたくない場合は「慰謝料の条件をのんでくれれば離婚理由について絶対口外しない」など、配偶者の弱みに付け込む形で交渉していくことです。
それから、やはり「有効な証拠をそろえておくこと」です。
浮気をしていることを知っていても、証拠が無ければ「浮気などしていない」と言われて終わってしまいます。また、メールなどのやりとりの証拠があったとしても「それはメールを送ってきた人の好意に話を合わせていただけだから」と言われてしまえばもう証拠にはなりません。
慰謝料の話し合いだけでなく裁判を起こすことになった場合にも有効な証拠となるものとしては、“配偶者と浮気相手に肉体関係があった事がわかるもの”というのが大前提といっても過言ではないでしょう。
具体的にはラブホテルに入ったことがわかる写真で日時がわかるもの、肉体関係があった事がわかる写真や動画、浮気を認めた際の録音データなどが有効な証拠となります。
あとは調停や裁判になった場合にこの証拠を持って「調停委員や裁判官に慰謝料請求が妥当だと認められること」です。くどいようですが証拠は大切です。
有効な証拠を確実に集めたい場合は、興信所や探偵に依頼をしたほうがよいでしょう。すでに証拠を集めている場合は、それが有効かどうかを弁護士などの法律の専門家に聞いてみると良いでしょう。
離婚を切り出すのは、ばっちりと有効な証拠を集めてからです。
子供がいる場合はお金だけではなく子供のことについて話し合う内容がたくさんあります。具体的には
・親権
・離婚後の子供の姓
・離婚後の生活や住まい
・養育費
・面会交流
などが挙げられます。
離婚をする場合、親権は母親である妻にわたることが多く、特に浮気が理由であれば親権については夫にわたることはほぼないのではないでしょうか。
そのため、浮気による離婚で考えなければならないのは離婚をすることによって子供の生活にどう影響が出るか(離婚・転居することによる精神的不安や生活費が少なくなることによって生活が苦しくなるなど)といった点や、浮気をした夫と離婚後に子供を会わせるのかどうか、養育費を毎月いくらもらうか・支払日はいつにするか、支払わなかった場合はどうするか…などといった内容になるでしょう。
ということで、子供の有無に関わらず離婚後の生活についてはあらかじめしっかりと考えておきましょう。
★離婚後に自立して生活をすることができるか
「浮気をされた!慰謝料をもらう!離婚する!」と、感情的になっている場合はひとまず落ち着きましょう。
浮気をされたからと言って確実に慰謝料がもらえるかどうかというと、前述したとおり証拠が不十分であれば慰謝料をもらうことはできません。慰謝料をアテにしている状態では離婚後、生活を送ることはできなくなります。
慰謝料をもらうことができたとしても日々の生活費が確保できない状態(例えば専業主婦や短時間パートで給料が少ないなど)では、離婚後に生活が苦しくなってしまうのは目に見えています。
離婚をしても生活ができるような収入を得ることができるか、短時間パートだとしても母子手当などの公的な援助を受けることができて生活をすることが可能であるかどうかなど、まずは確実に生活を送るだけの力をつけておくことが大切です。
慰謝料をもらえる場合は貯金をしようぐらいに考えておいた方が良いのではないでしょうか。
収入だけでなく、住居が確保できているか、配偶者に頼ることができなくなるため一人で様々なトラブルの対処や子供の精神的不安を支えることができるかなど、自分が精神的に自立することができるかどうかということも考えておかなければなりません。
夫婦仲が良かった場合、浮気をされたことによってかなりのショックを受けていることだと思われますが、離婚を決めた場合は強くならなければいけないということになります。
浮気による離婚は精神的なダメージが大きいと思います。
しかし有責配偶者と離婚をするため、傷つけられたことに対する慰謝料を請求するため、そして子供の今後のためには、まず確実な証拠を集めること、そして離婚後の生活がきちんと送れるように準備をしておくこと、精神的に強くなることが大切です。
とてもじゃないけど精神的なダメージが大きく証拠を集めることができない、慰謝料を確実に請求するだけの証拠があるかどうかがわからない、家庭裁判所で調停や裁判になりそうだ…という場合は、法律の専門家である弁護士などに相談してみましょう。
費用がかかってしまいますが、精神的負担を減らし、確実に慰謝料を手に入れることができるように証拠を集めることができる可能性が高くなります。
最近は初回の相談を無料で受け付けている弁護士事務所なども多く存在します。
まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか?
2021年03月10日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
2020年06月30日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
2020年09月23日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
2021年07月14日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者
2019年09月24日 離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者