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これって離婚の理由になりますか?慰謝料は?

更新日:2019年09月24日
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平成30年の離婚件数は20万8,333組だったそうで、約3組のうち1組の夫婦が離婚をしている計算になるそうです。
 統計期間中のピークに比べると離婚件数自体は減少しているそうですが、それでも多くの夫婦が離婚を選択しているのは事実のようです。

 離婚を選んだ理由と、その理由によって離婚をすることができる条件はどんなものかについてみていきましょう。

離婚理由ランキング

 まずは離婚理由ランキングをみていきましょう。
 平成29年度の司法統計によると、男女別に次のようになっています。

  男性 女性
1位 性格が合わない 性格が合わない
2位 精神的に虐待する 生活費を渡さない
3位 その他 精神的に虐待する
4位 異性関係 暴力を振るう
5位 家族親族と折り合いが悪い 異性関係
6位 性的不調和 その他
7位 浪費する 浪費する
8位 同居に応じない 家庭を捨てて省みない
9位 暴力を振るう 性的不調和
10位 家庭を捨てて省みない 家族親族と折り合いが悪い

参考:平成29年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所

 男女ともに第1位は「性格が合わない」という結果になっています。
 他は順位に差がありますが、TOP5に入っているもので共通するのが「精神的に虐待する」「異性関係」、7位までに3つ入っている金銭的の不一致の内容などが主な理由になるのではないかと考えられます。
 
 ではこれらの離婚理由が選ばれた理由と、この理由で離婚できるかどうかについて掘り下げていきましょう。

離婚理由1:性格の不一致

 男女ともに離婚理由の第1位の「性格の不一致」ですが、『ならどうして結婚したの?』とつい問いたくなる気持ちもあるでしょうが、夫婦はそもそも他人同士。生まれも育ちも違うので考え方も異なりますし、実際に一緒に暮らし始めると付き合っているだけではわからない嫌なところが見えてきてしまうものです。

しかしこの性格の不一致というのはとても曖昧なもので、例えば「毎日靴下を脱ぎっぱなしで放置するのが死ぬほど嫌だ」「トイレの蓋を毎回閉めない配偶者が苦痛だ」という理由だったとして、これが本人にとってどれほどの苦痛なのか…その程度については他人にはわかりにくいものです。

また、夫婦で話し合っても離婚の合意に至らなかった場合は家庭裁判所で調停や裁判を経て離婚をすることになるのですが、裁判をするにあたっては「離婚事由」が必要となります。
離婚事由は民法第770条に定められた以下の5つの項目です。
①配偶者に不貞な行為があったとき。(浮気など)
②配偶者から悪意で遺棄されたとき。(生活費を渡さないなど)
③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
 このうちどれかに当てはまる必要があります。

性格の不一致を当てはめるとしたら「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」になるのですが、弁護士などの専門家が判断する際には「婚姻関係がすでに破綻しており、この先も修復の可能性がない」状態であれば離婚が認められる基準だと考えるようです。
そのため先ほどの例の「毎日靴下を脱ぎっぱなしで放置するのが死ぬほど嫌だ」という理由がこの基準に当てはまるかどうかというと、いくらこの理由が裁判をしてでも離婚したいほどの苦痛だとしてもこれだけでは基準に当てはまらない可能性が高いということになるのではないでしょうか。

ではどうすれば性格の不一致が離婚事由として認められるのかというと、性格の不一致が原因で配偶者が浮気をした(①の不貞行為に当てはまる)とか、数年にわたり別居状態が続いている・余りに束縛が強くなりすぎて家から出ることができなくなった(⑤の婚姻を継続しがたい重大な事由に当てはまる)など、何かしらの離婚事由に当てはまれば認められるということになります。

離婚理由2:精神的に虐待する(モラルハラスメント)

 次は精神的虐待、いわゆるモラハラ(モラルハラスメント)です。
 モラルハラスメントはDV(家庭内暴力)の一種で、言葉や態度による精神的暴力・精神的嫌がらせという意味です。

例として次のようなものがモラルハラスメントに当てはまります。
  ・言葉で傷つけてくる
(お前はクズだなどといった言葉を長期的に言われ続けるなど)
  ・人前で自分の悪口を言う
  ・間違いを責めてくる
(ゴミ出しを忘れるなど小さなことを長時間説教し続けるなど)
  ・何でも人のせいにする
  ・否定的な発言をしてくる
   (こんな料理は食べられないなどと言ってくる。さらにそれに対して謝ると態度を大きくして「謝ればいいと思っているのか」などとさらに攻めたててくるなど。)
  ・絶対に謝らない
   (常に自分が正しいと思っているので自分が悪くても責任転嫁して「相手が悪い」と言って謝らない。)
  ・嘘をつく
   (「うちの嫁は家事をしない」などの嘘を平気でつく。モラハラをする人は外面が良いため、それを信じた周りの人からモラハラ被害者が追い詰められる。)
  ・情緒不安定
  ・異常に束縛してくる
  ・無視してくる
  ・舌打ちやため息をつく
  ・物にあたる
など、文字にするだけでも胃が痛くなるよう内容ですが、モラルハラスメント加害者はこのような様々な精神的な攻撃を仕掛けてきます。

ではこのモラルハラスメントを理由に離婚できるかということですが、離婚事由の「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に当てはまれば離婚をすることができます。
モラルハラスメントがあまりに酷い場合、それを証明する証拠があれば最終的には裁判によって離婚をすることができるでしょう。

証拠が無い場合やモラルハラスメントの程度が低いと判断された場合は離婚できない可能性もあります。モラルハラスメントをする人は離婚に同意しないことが多いのも特徴です。そのためモラルハラスメントを理由に離婚をしたい場合は証拠が重要となります。

離婚理由3:異性関係

 浮気や不倫のことになりますが、これについては離婚事由の「①配偶者に不貞な行為があったとき」に当てはまります。
 こちらもモラルハラスメント同様に証拠が重要です。
 浮気や不倫を認めてもらうためには「肉体関係があった事がわかる証拠」が必要になります。そのため例えば浮気を疑った原因が“女とLINEしていた”ことで、そのLINEのやり取りの写真を撮っていた…というだけでは認められないということになります。
 LINEのやり取りの中身に明らかに肉体関係があると判断される内容や写真があれば別ですが、通常はラブホテルに入った時と出た時の写真(日時がわかるもの)や浮気を認めた際の会話を録音したものなどが証拠として認められやすいものになります。

 また、肉体関係があったとしても強姦などの場合は該当しません。

離婚理由4:金銭感覚の不一致

 女性のランキングの2位の「生活費を渡さない」に関しては離婚事由の「②配偶者から悪意で遺棄されたとき」に当てはまりますので離婚をすることができます。
 例えば夫の給料で生活していたのに生活費をくれなくなったとすると、妻は生活できなくなってしまいます。夫婦には扶助義務(民法第752条)があり、同等の生活を送れるように助け合い協力しなければならないとされています。この義務に違反する行為が悪意の遺棄となりますので離婚事由に当てはまるということになります。
 
 また、男女ランキングの第7位に入っている「浪費する」ですが、例えば
  ・ギャンブルにお金を浪費する
  ・趣味などのために多額の借金をする
  ・金銭感覚がずれている
  ・お金にルーズ
 など、浪費癖がある場合も離婚事由の「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に当てはまるため離婚をすることができます。
 金銭感覚のずれについては浪費癖はもちろん、過度な節約でも金銭感覚のずれで離婚事由が認められた例もあります。

離婚前に弁護士に相談

 夫婦によって様々な離婚の理由があります。
 裁判をしてでも離婚をしたい場合、離婚の理由が認められるか・持っている証拠が確実な証拠かどうかという判断は素人では難しいでしょう。
 そのため離婚をする前にはまず法律のプロである弁護士に一度相談してみましょう。
 証拠などの判断だけではなく、そもそも離婚したほうが良いのかという点についても一度第三者の目線で冷静に判断してもらうという意味でも相談する価値があると言えます。

まとめ

 離婚理由には性格の不一致やモラルハラスメントなど、様々な理由があります。
 夫婦の話し合いや離婚調停によっても離婚が成立せず、離婚裁判になった場合は離婚事由が必要です。どんな理由で離婚するとしても、離婚事由に当てはまらなければ離婚をすることは難しいでしょう。
 また、離婚事由に当てはめるためには証拠が重要なケースがあります。
 離婚すべきか、離婚事由に当てはまるか、証拠が有効かなど、まずは一度弁護士に相談することをおすすめいたします。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

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離婚慰謝料弁護士ガイド 編集者

離婚問題に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 離婚問題でお悩みの方は是非参考にしてみてください。 また、お一人で悩まれているなら一度弁護士へのご相談を強くおすすめ致します。 今後も離婚問題に関する情報を多数発信して参ります。

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