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【弁護士監修】離婚に携わる弁護士とは。依頼者にとって良い弁護士の要素【1】

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弁護士 松野 絵里子 東京ジェイ法律事務所

更新日:2018年12月29日
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離婚事件を嫌う弁護士と嫌わない弁護士

 弁護士にとって離婚事件は、嫌う人が多い分野です。
アメリカではディボースロイヤーという離婚専門弁護士がいますが、日本ではそこまで専門化していませんし、私は離婚事件だけやっていますという弁護士はいないとおもいます。
日本の離婚事件の訴訟は、今では家庭裁判所で扱いますがもとは地方裁判所で扱っており、裁判官も特に専門制が導入されていませんので、通常の一般訴訟が扱える弁護士が勉強すれば離婚事件は十分扱えると言えるでしょう。
しかし、なぜ嫌う弁護士がいるのか?いやいややっている弁護士がいるのか・・・・

 離婚事件での弁護士の仕事は、夫婦のいがみあいにおいて、中立的に紛争を解決するのではなく、あくまでも片方の利益のために相手を攻撃するというもので、この構造から、離婚弁護士は「因果な商売だ」という面があり、これが嫌われる理由でしょう。
通常訴訟であれば、契約に従ってはらってくださいとか、この契約はこういう解釈ですよねなどと、理論を戦わせるわけですが、離婚となると「暴言ばかりする夫」「浮気した夫」「家事放棄の妻」「性生活拒否の妻」などなど、夫婦のプライベートな問題、普通なら夫婦喧嘩でやるようなことを、大真面目に訴状とか準備書面に書くことになります。
そういうことが嫌だとか、面白くないとか、レベルが低いという感情を持つ弁護士がいるのは仕方がないことだと思います。

 しかも、相手の言い分もそれなりにわかるなあと思いつつも、離婚を認めよ!とか有責配偶者だから離婚は請求できない!とか、相手にとっては不当な戦法とか人格攻撃と感じられるようなことをやっていかなければならないのです。
感情移入しないと依頼者とよい関係が構築できない反面、しすぎると、距離感がなくなって、事件処理がうまくできないということもあります。そういう悩みが多く、ストレスが大きい、だから嫌う弁護士が多いのでしょう。

一方で、嬉々としてやっている弁護士もいます。

 個人的な意見ですが、離婚事件では弁護士は依頼者が別の人生の段階に進むのに同伴するという面があります。それが、弁護士にとってのやりがいになっているように思います。離婚したいという依頼者に離婚まで実現してあげられたとき、もちろん依頼者は希望の通り次の段階に行けたわけですが、その過程では、財産をどう分けるのが最もよいのか、今後の子の養育をどのようにしていくのか、というような今後のことも考慮してなければならないし、退職金はもらってからわけるのか今から一括とか分割で分与するのか、いろいろ人生計画にも鑑みて決めなければなりません。
 反対に、離婚したくないという依頼者が離婚事件のなかで夫婦関係に見切りをつけて離婚を選んでいくようなこともあり、このようなときには、まさに一人の人が大きな決断をした瞬間を共有したことになります。
 離婚したくなくても判決で離婚認容となることがわかっているような場合、弁護士は当然それを伝えますしそういうときには依頼者も諦めて心の準備をするようになります(そうなるように弁護士はサポートします)。
 これも依頼者にとっては大きな人生の起点となる場面でしょう。

依頼者にとって良い弁護士とは?

 離婚を考えた場合、多くの人は弁護士を探すだろうとおもいます。
 最初は、お金があまりかからないから行政書士さんに離婚協議書を作ってもらってすまそうと思っても、行政書士さんは相手との交渉ができない(そもそも行政書士には法律相談ができないので、離婚協議書を有料で作成できるのか疑問があるところですが、そこはここでは立ち入りません)ので、離婚という対立局面で当事者で離婚協議書を作成して署名するのは無理となって弁護士を探すとか、そもそも冷静に相手と話しあうことができない、自分にどんな権利があるのか知りたいというような理由で、弁護士を探される方が多いでしょう。
私はすべての離婚において、きちんとした法律知識を専門の弁護士から得てから離婚という決定をするべきであるとおもいます。
 離婚届けをだしてから知ったのでは遅いことはたくさんあるからです。

 さて、どういう弁護士が良い離婚弁護士なのか?について考えてみましょう。

 これについては、以下のような6つの良い弁護士の「気質」があるように思えます。ひとつひとつ、取り上げてみましょう。

  1. 話がしやすい弁護士
  2. 先の見通しを説明してくれる弁護士
  3. 話を聞いてくれる
  4. 同情してくれる弁護士
  5. いろいろ決めてくれる弁護士
  6. 結果を出す弁護士

※3以降に関しては次回記事「離婚に携わる弁護士とは。依頼者にとって良い弁護士の要素とは?2」にて紹介します。

1話がしやすい弁護士

 これは、あなたが自分の離婚弁護士を探すときには「必須項目」と言っていいような気がします。
 そもそも離婚したいということや離婚したくないのに提訴されてしまったなどというのは、誰にも話したくないことですから、この問題について一緒に解決に向けて歩いてくれる弁護士は「話しやすい弁護士」でなければならないと、思うのです。
 よくあるのは知人に紹介してもらった弁護士で優秀そうであるが気が引けて話しにくいとか、夫婦のつまらないことでうまくいかないので話すのも恥ずかしい、などという理由で依頼者のほうで勝手に遠慮してしまっている場合です。私は、今の弁護士との関係がそういう感じなので困っているという相談をよく受けます。

 弁護士の側からしても、いつも言いにくそうにしている、本当のことを話してはなさそうだ、どうして離婚したいのかわからない(離婚したくないのかわからない)というような依頼者の事件は精神的に大きなストレスになります。どういう代理人活動をしてあげたらよいかわからないからです。

 良い離婚弁護士は、離婚したいということになった経緯とか、離婚したくないのに相手に離婚したいと言われて困っている経緯について、うまく聞き出していき、依頼者本人ですら気がついていなかった「本当の離婚したい理由」とか「離婚したくない理由」を理解して、ことばにしてくれる弁護士でしょう。
 そういう弁護士がそのままの経緯を実際に訴訟や調停の書面に書いてくれるは、別の問題ですが、言葉にしてくれること、それだけでも、依頼者はすっきりしたり、わかってもらえたという気持ちになって安心できると思います。

2先の見通しを説明してくれる弁護士

 安心したいというのは、弁護士をつけるとき依頼者がみんな密かに思っていることではないでしょうか?

「これから、どうなるのか?」「いつ離婚できるのか?」「離婚したくないけどどうしたらよいのか?」「財産分与はどのくらいもらえるのか?」「子供を連れ去られてしまったらどうしたらよいのか?」「子供と妻がいきなりいなくなって離婚を求められているが、子供に会えないのか?」などなど、立場によっていろいろな不安が依頼者を占拠して、なにも手につかなくなっているということが通常です。

 そういう依頼者に、これからこうやってこうやると、こんなことがあって、可能性とはしてはどういう解決がありえるという説明を、わかりやすくできる弁護士が良い弁護士といえるでしょう。

 もちろん、見通しは決して甘いものばかりではないです。離婚したいと思っていても、「この状況ではすぐには難しそうだ」とか「離婚したくないようですが、拒否するのは無理なので良い条件で離婚できるようにベストをつくしてはどうでしょう?」「親権を取るのは、この段階ではもう難しそうです」など、聞きたくない見通しを聞かされてしまうこともあるでしょう。

 それでも、プロの見通しをきちんと教えてもらって、その上で次のステップを考えたり、最悪のことを覚悟したり、そういう準備のためにもやはり弁護士はいるのです。
 こんなことを言うと可愛そうだからと「大丈夫ですよ」などとだけ説明し、離婚調停・離婚訴訟を経ても意外な結果ばかりであった・・・これは最悪でしょう。弁護士は、なるべく正確に(もちろん可能性のあることを複数説明して)これから見通しを依頼者に伝えるべきです。

 情報がたくさん、正確にあれば財産分与はこのくらいになるとか、親権はほぼ取れそうだいう明るい見通しが聞けることもあります。

 調停では無理でも離婚訴訟なら認容判決はもらえるから、調停で離婚できるように努力しましょうね・・・などと、当面の目標を一緒に立てていくこともできます。
一人ではわからかった見通し、これを持てるようになる、これが離婚弁護士を雇う大きなメリットです。

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松野 絵里子 (弁護士)東京ジェイ法律事務所

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